ステラタウンの悲劇
先日、さいたま市北区で物件を探索してきた。
おもむろに不動産屋さんへ入り、
話をしていたら仲良くなった。
残念ながら希望する物件は見つからなかったが、
代わりにチョコチップメロンパンをもらった。
歩き疲れたので、
『ステラタウン』に寄ってコーヒーを飲む。
フードコートで勉強をする学生が数名。
――いいぞいいぞ!
――がんばれがんばれ!
という念を送っていたら、食べようとしたチョコチップメロンパンが地面に落ちた。
ボクはあまりの出来事に、目の前が真っ白になったり真っ黒になったりした。
周囲の視線を感じたので、ボクは
「なにか? ぜんぜん悲しくなったり絶望したりしていませんよ?」
という顔してチョコチップメロンパンを拾った。
そのまま袋に入れて持ち帰り、地面に落ちたチョコチップメロンパンをテーブルの上に置いた。
幸い、汚れなどはついていなかった。
……いけるんじゃないか?と、何者かが耳元でささやいた。
一回、水ですすげば……。
「食べ物を粗末にしちゃいけないよ」とほほ笑む、亡くなったおばぁの顔が頭に浮かんだ。
しかし、
――ボクはチョコチップメロンパンを口にせず。ラップをかけて冷蔵庫に保管した。
枕によだれをたらして寝ているくせに、心だけは高貴だった。
翌日のことだ。
寝起きでコーヒーを飲もうと、冷蔵庫を開けると――チョコチップメロンパンが跡形も無くなっていた。
おかしなこともあるものですね。