受験と恋愛
ボクは今、
塾の講師もしているんだけど
左右の教室から
今日も講師たちの声がガンガンと響いてくる。
……。
うるせぇ 笑
というのも、
ボクの教室(授業)は
ほぼほぼ静かだから。
生徒はみんな、
ひたすら手を動かしている。
演習・採点・解き直し――。
ただ、
1時間ずっと問題解いていると飽きちゃうからさ。
大人でもそうじゃない?
だから、タイミングを見て導入授業を行ったり、雑談をしたりする。
「塾来ていてさ、1時間授業だけ聞いてノート取るだけって正気かよ、って思わん?」とかね。
笑
「それで、本当に学力上がるとみんなは思う?」
「例えば夏期講習とか、中3になると5教科で5時間くらいあるよね?」
「合計300分。先生の話聞いてノート取って……いつ、みんなは自分の頭で考えるの?」
ボクのクラスの生徒たちは、「たしかにっ」と目が丸くなるんだ。
「たとえばさ、みんなも好きな人ができるかもしれないじゃん。じゃあ、その人と付き合うにはどうするの?」
「誰かが教えてくれる? 学校とか、ご両親とか」
こう言うと、みんな「いや……」と首を傾げたり、横に振ったりする。
すると、ある女の子が
「女の子雑誌には恋愛コーナーがありますよ!」
「そうそうそう!オレも読んでる!」
「先生、読んでるんですかっ笑」
「なんでー笑」
「男は半分女なんだよ笑……その話はまた今度するとして、そういう恋愛コーナーをただ読んだとするじゃん? ほんで彼氏・彼女はできる?」
「できなーい」
「仮にできたとしても、そのまま長く付き合っていく方法は?」
「んー……」
「な? 結局さ、学校や塾、両親はやり方を教えてくれない。動画やネットや本を見たところで、本命の人と付き合えるか未知数。」
「つまり、『自分の頭で考える』しかないんよ。そんで『やってみる』の。そりゃ失敗もするし、8割うまくいかないけどさ、その失敗から学んで次に生かせばいいだけよ。」
「受験もコレと同じ。だって、受験当日は未知の問題を解くんだよね? 『はじめましてー』という人を口説くのと一緒じゃない?笑」
「そのためにはさ、『どう攻略しようか』って自分の頭で考えなきゃじゃん。」
「そのときに、今までの経験値で戦うじゃん。ほんで、もっている武器は多い方が勝ちやすいじゃん。……なんか、途中からドラクエっぽい話にスライドしたけど」
「だから、君たちは『自分で考え』て『問題を多く解い』て『失敗から学ん』で経験値と武器をめちゃくちゃ多く手に入れようぜ! はい、残り20分! 手を動かそう!」
先日話したのは、こんな感じ。
すると、生徒たちはみんな生き生きとした表情でペンを走らせるんだよね。